2013-05-05から1日間の記事一覧

It's A MIRACLE WORLD!

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Scene37

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Scene36

オーケイ! オレたちのハッピーエンドは、 こんなもんじゃねぇぜ!!! ちょっと待て。 いま絵に描いて説明するから! back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene35

ベレットが走り去る。 私は長い間、その先を見つめている。 ふいに、ポケットの中のスマートフォンが震えた。 錯覚じゃない。――どうして? 取り出す。 バッテリーが切れているはずのそれは、でもモニターが輝いていた。 表示されているのはメールフォルダだ…

Scene34

「ごめんな」 滲んだ声で、彼が言う。 「オレ、間違えてばっかでさ」 忘れていた涙が、ようやく溢れる。 ――黒崎くん。 謝って欲しいわけじゃなくて。 これまでの事情さえ、もうどうでもよくて。 「一緒に、いてよ」 振り上げていた拳で、彼の胸を叩く。 彼を…

Scene33 3/3

走る。 走る。 鼓動より速く。 走る。 ベレットに手をかけた彼の背中の真ん前で、ハートを握ったまま、拳を振り上げる。 彼が、振り向いた。 ――黒崎くん。 目の前に、彼の顔があった。 それで、なんにもできなくなった。 back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene33 2/3

何も言わないままに。 一歩ずつ、彼の背中が遠ざかる。 その先にはあのベレットがある。彼を連れ去っていく車。 一歩、一歩。 すぐ目の前にいた彼が、遠ざかる。 そんなの。 許せない。 走る。 back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene33 1/3

「黒崎くん」 私は、彼に呼びかける。 そこにいるのは黒崎くんだ。 何もわからなくても、ハートのペンダントが教えてくれる。 奇跡が当たり前になって、もう、私は間違えない。 「黒崎くん、だよね」 決まっていた。 他にはあり得ない。 今まで、どうして気…

Scene32 13:00〜 2/2-fullheart 2/2

何もわからなかった。 なぜハートのペンダントが2つ揃ってここにあるのかも。 どうして私が、心の底から安心して、あの銃口に背を向けていられるのかも。 わからないまま、正しい形に繋がった、ペンダントを手に取る。 10年前から首に下げていた、あの黒い…

Scene32 13:00〜 2/2-fullheart 1/2

ポケットの中で、何かが震えたような気がした。 でもそれは気のせいだ。スマートフォンはもう、バッテリーがないのだから。 きっとただ、恐怖に身震いしただけだ。 ああ、私は。 ――助けて。 きっとこの街に戻ってきて、ゆっくりとした長い走馬灯をみていたの…

Chips - no.24「海を描く男」

海を描き続けている男がいる。 雨天を除けば毎日、決まって正午から午後5時まで、同じ場所で同じ海を描き続ける。 彼は画家ではない。 ただ、とある理由で、海辺にいたいだけなのだ。 ところである夜、彼は夜道で、一人の少女にぶつかった。 少女は青年に引…

Chips - no.23「みんな」

「彼女」と「彼」と、そして「みんな」。 この物語における主人公たち。「彼女」は唐突に巻き込まれた「トレインマン事件」により、悲劇的な死を遂げることが決まっていた。 そして「彼女」の悲劇は、同時に「彼」の悲劇でもあった。 けれど―― その悲劇は「…

Chips - no.22「アユミの苗字」

高校を卒業する頃、アユミの苗字は吉川から岡田に変わった。それは吉川マユミからの解放ともとれたが、かといって吉川アユミだった頃の思い出を否定する気には、彼女はなれなかった。 back← .

Chips - no.21「彼女の過去」

女性警官、西野原桜は某体育大学を卒業後、警察に就職。 ある町で「笑うと左目が細くなる彼女」と同居し、満ち足りた生活を送っていた。 だが「彼女」はある日、組織によって、一面記事のためだけに無残に殺された。 その日から西野原桜の目的は、復讐になっ…

Chips - no.20「物語」

Rule chips 様々な物事について語られる、散文の文学作品。 フィクション、ノンフィクションを問わない。 物語として語られれば、なんであれ物語になり得る。 物語として読めば、なんであれそれは、あなたにとっての物語だ。 たとえばあなたが1枚の写真を撮…

Chips - no.19「組織」

詳細不明。 定期的に「マスコットキャラクター」的な犯罪者を生み出し、新聞の一面を書き換える仕事を請け負っている。 現在のマスコットキャラクターは「トレインマン」。 ちなみに前回は「バーガーマニア」と呼ばれる、死体の顔にケチャップとマスタードを…

Chips - no.18「女性警官」

本名、西野原桜。29歳。 高校生だった頃のある日、ふいに「自分は男性を生理的に受けつけないのだ」と気づいた。 そのことに関してずいぶん悩んだが、大学生の頃、1つ後輩の「笑うと左目が細くなる彼女」に出会い、恋人になると吹っ切れた。 その後、警官に…

Chips - no.17「離婚時のアユミ」

アユミの高校卒業に合わせ、彼女の両親は離婚した。 アユミはどちらかといえば、母よりも父の方が好きだった。 だが父よりも母の方が、自分を必要としていることも、理解していた。 母にはいつまでも、姉の――マユミの代わりが必要だった。 悩んだ結果、アユ…