Chips - no.49「岡田アユミのその後」

 本名、岡田歩。年齢よりも幼く見える、目の大きな女性。

 一連の事件の後、岡田歩は待ち続けていた。彼が帰ってくるその日を。今度こそ、もう二度とあのハートが欠けることはなくなる時を。
 苦しいことではなかった。
 一度も疑うことのなかったあの約束が、いよいよ叶うのだと確信していた。
 そしてそれは、当たり前に、あの公園でまた叶えられた。

 現在、彼女はある小さな事務所に就職している。その事務所は京都にある。
 住居はあの公園の近くの、室内でペットを飼うことができるマンションだ。
 すぐ近くに、彼も暮らしている。

 ペット可のマンションを探したのには理由がある。
 ある女性から、ポメラニアンを1匹、譲り受けることになったのだ。
 黒と白、斑の毛を持つポメラニアンだ。
 名前はモノ。彼が決めた。

「モノクロの、モノ?」
「それもある。あとは、消しゴムにもあっただろ、モノって」
「消しゴム? どうして?」
「昔から好きなんだよ。モップとか、消しゴムとか」

 照れたような笑顔で、彼はそう言った。
 今では、2人と1匹で、あの公園を散歩するのが日課になっている。

 すべては、あの日に起きた、とんでもない奇跡のおかげだ。

 彼女にはずっと探していたものがある。
 自分の居場所。
 名前を呼ばれることに、心から喜べる場所。
 ようやくそれが手に入ったのだと感じる。
 毎朝、目を覚ます度に、幸せな気分になる。
 この幸福な場所を守り続けようと、彼女は強く誓っている。。


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