2013-05-05 Scene35 ベレットが走り去る。 私は長い間、その先を見つめている。 ふいに、ポケットの中のスマートフォンが震えた。 錯覚じゃない。――どうして? 取り出す。 バッテリーが切れているはずのそれは、でもモニターが輝いていた。 表示されているのはメールフォルダだ。新着メールがある。 簡潔な文面。 お前ら、愛の力って信じる? 私は勢いよく涙を拭いて。 「当然」 思い切り強く、黒いハートの欠片を握りしめた。 back← 全編 →next back← 岡田 →next .