Scene?? 23:00〜

まさか、と思った。信じられなかった。 そわそわとバイトを済ませた私は、暗い夜道を走る。 最寄りのコンビニに駆け込んで、雑誌コーナーに直行する。「ホントにまた始まるの!?」 荒れた息で、おそるおそる、私は一冊の少年誌を手に取った。 %8d%c5%8f%89%…

まえがき

「3D小説」のページに、ようこそ! 3D小説とは、インターネット上で公開されている小説です。 岡田アユミと黒崎リョウ、2人の視点で描かれた「小説パート」と、少年ロケットと読者たちがTwitter上でやりとりする「現実パート」で主に構成されています。…

Chips - no.49「岡田アユミのその後」

本名、岡田歩。年齢よりも幼く見える、目の大きな女性。 一連の事件の後、岡田歩は待ち続けていた。彼が帰ってくるその日を。今度こそ、もう二度とあのハートが欠けることはなくなる時を。 苦しいことではなかった。 一度も疑うことのなかったあの約束が、い…

Chips - no.48「白黒模様のポメラニアン」

モップの孫にあたるポメラニアン。 背の高い青年と、大きな目の少女に引き取られた。 名前は「モノ」。ハムが大好物。 大型犬には威勢よく吼えるが、猫を見ると怯え、2人の背後に隠れる性格。 back← .

Chips - no.47「モップのその後」

白いポメラニアン。オス。名前を2つ持つ。そのうちの1つが「モップ」だ。 モップは老婆に引き取られた後、やがてメスの黒いポメラニアンと結ばれ、子犬を3匹授かった。 現在、モップと黒いポメラニアンは老犬となり、老婆と静かに暮らしている。 かつて子…

Chips - no.45「愛の力」

不確かなもの。 誰もが信じていて、誰もが疑っているもの。 証明できないもの。 証明したいもの。 証明できたとき、奇跡のような世界が訪れるもの。 それは、ある日、ある時、ある人々の力により証明され、この物語をハッピーエンドへと導いた。 back← .

Chips - no.44「ある出会い2」

西野原桜は、「彼女」のランニングコースを、ゆっくりと歩いた。 かつて「彼女」と暮らしていたマンションの前から出発し、三ノ宮駅の南側に出て、そこから東へ。 消防署の前を通り、生田川を渡り、さらにまっすぐ。 地下に阪神春日野道駅がある辺り、有名な…

Chips - no.43「組織の崩壊」

唐突に起こった組織の壊滅。 これまでの様々な凶悪犯罪者――トレインマンやバーガーマニアなど――が組織によって作り出されたものだということが明るみになり、長い間、新聞の一面を賑わせることになる。 ちなみに、組織の幹部だった男はこう発言している。 「…

Chips - no.42「召集」

西野原桜は焦っていた。 組織が自分に対する疑いを強くしていることを、察していたからだ。 ひとつの賭けとして、彼女は黒崎リョウに協力を求めた。黒崎はおそらく、組織の本拠地がある場所を知っている。 だが、彼の態度はつれないものだった。 そんな時、…

Chips - no.41「ある出会い1」

4年前のことだ。 なんとなく絵でも描こうと考えた太田信太郎は、海沿いの公園を通り、公衆トイレ脇の細い道を通り抜けて海岸に出た。 その時、右側から強い衝撃を受け、画材をばら撒いてしまった。 どうやらランニングをしていた女性――この辺りで、よく見か…

Chips - no.39「黒いペンダント」

岡田が大切にしていたペンダント。 彼女はそれを、10年前の約束をした日から、肌身離さず持っていた。 学校にも鞄にひそませて、こっそりと持っていった。 そのペンダントと、あの公園で交わした約束だけが、彼女のすべてだった。 だがあの夜、トレインマン…

ホームページ(最終版)

このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。 当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。 この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終え…

Chips - no.29「4年前」

4年前に起こったことがいくつかある。 それらはすべて、「ある女性の死」に起因している。 4年前。 組織が使っていた連続殺人犯が、「ある女性」を殺した。 そのことにより、一人の女性警官が執拗な捜査を始め、組織は危機感を抱いた。 組織は該当の殺人犯…

Chips - no.28「笑うと左目が細くなる彼女」

中学から陸上を始め、ある体育大学で西野原桜に出会う。 卒業後は西野原の就職先に合わせ、海沿いのある町で暮らしていた。 あるバーで雇われのバーテンダーをしていた彼女は、昼ごろに目を覚まし、海沿いの道をしばらく走って、夕方頃に仕事先に行くという…

Chips - no.27「彼の理由」

本名、太田信太郎。25歳。 実業家の父と写真家の母の間に生まれた。 太田は、「大きなことを成し遂げろ」という父の言葉を拒絶していた。「大きなこと」という漠然とした目標に、リアリティを感じられなかったからだ。 彼は毎日の時間を、思うままに潰した。…

It's A MIRACLE WORLD!

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Scene37

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Scene36

オーケイ! オレたちのハッピーエンドは、 こんなもんじゃねぇぜ!!! ちょっと待て。 いま絵に描いて説明するから! back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene35

ベレットが走り去る。 私は長い間、その先を見つめている。 ふいに、ポケットの中のスマートフォンが震えた。 錯覚じゃない。――どうして? 取り出す。 バッテリーが切れているはずのそれは、でもモニターが輝いていた。 表示されているのはメールフォルダだ…

Scene34

「ごめんな」 滲んだ声で、彼が言う。 「オレ、間違えてばっかでさ」 忘れていた涙が、ようやく溢れる。 ――黒崎くん。 謝って欲しいわけじゃなくて。 これまでの事情さえ、もうどうでもよくて。 「一緒に、いてよ」 振り上げていた拳で、彼の胸を叩く。 彼を…

Scene33 3/3

走る。 走る。 鼓動より速く。 走る。 ベレットに手をかけた彼の背中の真ん前で、ハートを握ったまま、拳を振り上げる。 彼が、振り向いた。 ――黒崎くん。 目の前に、彼の顔があった。 それで、なんにもできなくなった。 back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene33 2/3

何も言わないままに。 一歩ずつ、彼の背中が遠ざかる。 その先にはあのベレットがある。彼を連れ去っていく車。 一歩、一歩。 すぐ目の前にいた彼が、遠ざかる。 そんなの。 許せない。 走る。 back← 全編 →next back← 岡田 →next .

Scene33 1/3

「黒崎くん」 私は、彼に呼びかける。 そこにいるのは黒崎くんだ。 何もわからなくても、ハートのペンダントが教えてくれる。 奇跡が当たり前になって、もう、私は間違えない。 「黒崎くん、だよね」 決まっていた。 他にはあり得ない。 今まで、どうして気…

Scene32 13:00〜 2/2-fullheart 2/2

何もわからなかった。 なぜハートのペンダントが2つ揃ってここにあるのかも。 どうして私が、心の底から安心して、あの銃口に背を向けていられるのかも。 わからないまま、正しい形に繋がった、ペンダントを手に取る。 10年前から首に下げていた、あの黒い…

Scene32 13:00〜 2/2-fullheart 1/2

ポケットの中で、何かが震えたような気がした。 でもそれは気のせいだ。スマートフォンはもう、バッテリーがないのだから。 きっとただ、恐怖に身震いしただけだ。 ああ、私は。 ――助けて。 きっとこの街に戻ってきて、ゆっくりとした長い走馬灯をみていたの…

Chips - no.24「海を描く男」

海を描き続けている男がいる。 雨天を除けば毎日、決まって正午から午後5時まで、同じ場所で同じ海を描き続ける。 彼は画家ではない。 ただ、とある理由で、海辺にいたいだけなのだ。 ところである夜、彼は夜道で、一人の少女にぶつかった。 少女は青年に引…

Chips - no.23「みんな」

「彼女」と「彼」と、そして「みんな」。 この物語における主人公たち。「彼女」は唐突に巻き込まれた「トレインマン事件」により、悲劇的な死を遂げることが決まっていた。 そして「彼女」の悲劇は、同時に「彼」の悲劇でもあった。 けれど―― その悲劇は「…

Chips - no.22「アユミの苗字」

高校を卒業する頃、アユミの苗字は吉川から岡田に変わった。それは吉川マユミからの解放ともとれたが、かといって吉川アユミだった頃の思い出を否定する気には、彼女はなれなかった。 back← .

Chips - no.21「彼女の過去」

女性警官、西野原桜は某体育大学を卒業後、警察に就職。 ある町で「笑うと左目が細くなる彼女」と同居し、満ち足りた生活を送っていた。 だが「彼女」はある日、組織によって、一面記事のためだけに無残に殺された。 その日から西野原桜の目的は、復讐になっ…

Chips - no.20「物語」

Rule chips 様々な物事について語られる、散文の文学作品。 フィクション、ノンフィクションを問わない。 物語として語られれば、なんであれ物語になり得る。 物語として読めば、なんであれそれは、あなたにとっての物語だ。 たとえばあなたが1枚の写真を撮…