2013-05-03から1日間の記事一覧

Scene14 1/4

こんなこと誰にも言えやしないけど、私は姉が大嫌いだ。 彼女になんの非もないことはわかっている。八つ当たりと言っていい。でも私は彼女を嫌って育ち、憎悪して生きてきた。他には感情の行き場所がなかった。 私は実直な父と、優しい母と共に暮らしていた…

Scene13 2/2

衣を外したからあげと、ふかしたジャガイモのサラダと、サンドウィッチを、モップは勢いよくたいらげた。 空になったタッパーに、黒崎くんが水を汲んできてくれる。モップはあっという間にそれを飲み干す。 それから私は初めて、彼と長い時間、話をした。 長…

Scene13 1/2

――黒崎くん。 彼の名前を、胸の中で囁いた。 黒崎くんはクラスメイトだ。同じ5年1組。でも話をしたことはない。 彼は怖い男の子だ。みんなそう言っている。 すぐ怒るわけでも、暴力的なわけでもないけれど、いつも無口で、笑うことなんてなくって、不機嫌…

Scene12 3/3

からあげ、ハムとふかしたジャガイモのサラダ、何切れかのサンドウィッチ。 それを冷蔵庫から取り出して、タッパーに詰め込んだ。からあげは味が濃いから、あまり犬にはよくないけれど、衣を外せば大丈夫だと聞いたことがある。 キッチンで夕食の準備をして…

Scene12 2/3

抱き上げてみると、モップは想像よりもずっと細く、軽かった。 モップはまったく抵抗しなかった。軽く私に抱きつき、耳元で鳴き声をあげた。ノートに触れるか、触れないか、ぎりぎりの高さを動かして書いた線みたいな。細く、途切れがちな鳴き声だった。 鳴…

Scene12 1/3

モップについて語ろう。 彼は白いポメラニアンだ。でもその毛並みは茶色く汚れていた。世の中の汚いところをみんな拭き取っていくように、腹の長い毛を地面にこすりつけて歩く犬だった。 モップに出会ったのは、私が11歳になった日だ。 午後4時。よく覚えて…

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このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。 当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。 この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終え…