疲れていた。とても。
モップの抱き心地を思い出す。ふわふわの見た目に反して、意外にごわついた感触。
隣には黒崎くんがいる。彼のぶっきらぼうな表情。でも、よく見ると口元が、僅かに微笑んでいる。
私は、どうすればいいんだろう?
私は、どうなるんだろう?
――助かるに決まってるさ。
彼に、そう言って欲しかった。
胸元に手を伸ばす。やっぱり、ペンダントなんてない。
私の足がゆっくりと動く。
ほかにはどうしようもなくって。
記憶の中の、一番深い部分にある道を進む。
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