Scene10 01:50〜 3/4
ウェブブラウザでインターネットに繋いで、まず表示されたのはメールボックスだった。
自動的に、最新のメールが現れる――
次は殺せ。
切符切りを忘れるな。
その、簡潔な文章に、背筋が震えた。
なんだこれ。トレインマンは、誰かから指示を受けているのか? 殺せって、誰を? ――まさか、私を?
すぐにでも助けてくださいとメールを送るつもりだった。きっと警察のウェブページにはメールアドレスが載っているし、メールの送信元を辿る技術だって持っているはずだ。
早く、早く。メールを送らないと。
でも手が震えて、上手く操作できない。視界がモニターに縛りつけられている。
次は殺せ。
切符切りを忘れるな。
その、たった2行のメールは、途方もない力で私を引き寄せる。
メールには画像ファイルが添付されていた。
震えながら、そのファイルをクリックする。
僅かな読み込み時間に想像したのは、モニターに私自身が表示されることだ。トレインマンの標的として、明確に私の姿が。
でも、その予想は外れた。
映っていたのは、ガラスケースに入った大きなジオラマだ。
なぜだか私が生まれ育った町並みを、正確に再現した、ジオラマだった。
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