2013-05-02から1日間の記事一覧

Scene10 01:50〜 4/4

私の町。よく遊んだ公園も正確に再現されている。 私は、このジオラマを見たことがあった。これは公民館の2階にひっそりと飾られていた。彼と2人、並んで見た。 どうして? 私の町が、トレインマンに関係しているの? そんなはずない。嫌な思い出もあるけ…

Scene10 01:50〜 3/4

ウェブブラウザでインターネットに繋いで、まず表示されたのはメールボックスだった。 自動的に、最新のメールが現れる―― 次は殺せ。 切符切りを忘れるな。 その、簡潔な文章に、背筋が震えた。 なんだこれ。トレインマンは、誰かから指示を受けているのか?…

Scene10 01:50〜 2/4-E

しばらくメールをいじっていた。 でも、どこにも送信できない。圏外だから当然だ。 さすがにもう諦めよう、そう決意した時だった。 手の中の、スマートフォンが震えた。 錯覚だ、と思った。電波も届かないところに、私はいるのだから。でも理性とは反対に、…

Scene10 01:50〜 2/4-C-3/3

階段からは夜空が見えた。月のない、不吉な空だ。 ふいにポケットの中が震える。つい悲鳴を上げそうになる。気を落ち着けて、納得する。そうだ、ここはもう、圏外じゃない。 私はポケットからスマートフォンを取り出す。 1通のメールが届いていた。差出人は…

Scene10 01:50〜 2/4-C-2/3

玄関には私の靴が、綺麗に揃えて置かれていた。 なんだか気味が悪い。トレインマンが触れた靴を、履きたくなかった。 ドアには鍵が掛かっている。でも内側からなら、簡単に開く。事件性のない、ありきたりな鍵だった。 ゆっくりと少しだけ、扉を押し開ける。…

Scene10 01:50〜 2/4-C-1/3

しばらくメールをいじっていた。 でも、どこにも送信できない。圏外だから当然だ。 さすがにもう諦めよう、そう決意した時だった。 手の中の、スマートフォンが震えた。 錯覚だ、と思った。電波も届かないところに、私はいるのだから。でも理性とは反対に、…

Scene10 01:50〜 2/4-??

しばらくメールをいじっていた。 でも、どこにも送信できない。圏外だから当然だ。 さすがにもう諦めよう、そう決意した時だった。 手の中の、スマートフォンが震えた。 錯覚だ、と思った。電波も届かないところに、私はいるのだから。でも理性とは反対に、…

Scene10 01:50〜 2/4-?

しばらくメールをいじっていた。 でも、どこにも送信できない。圏外だから当然だ。 さすがにもう諦めよう、そう決意した時だった。 手の中の、スマートフォンが震えた。 錯覚だ、と思った。電波も届かないところに、私はいるのだから。でも理性とは反対に、…

Scene10 01:50〜 2/4-A

しばらくメールをいじっていた。 でも、どこにも送信できない。圏外だから当然だ。 ため息をついて、私は目の前のドアを見つめる。とにかく進むしかないのだ、どれだけドアの向こうが怖ろしくても。ここに留まっていても、何も変わらない。 手を伸ばす。胸が…

Scene10 01:50〜 1/4

目覚めるとなにもない部屋にいた。 家具はない。窓もない。ただ正方形の部屋。壁は何か白い素材で出来ていて、メダルのようなくぼみが無数に並んでいる。 身体を起こす。まだ全身が気だるい。 頭を振って、思い出す。 私は――大久保に、たぶんスタンガンを押…

Scene7 ??:??〜

揺れている。ずっと。 目が覚めても、意識を取り戻した気がしなかった。妙に眠い。全身がだるかった。頭の中心に、重い疲労感が居座っている。 目を開いても何も見えない。どうやら目隠しをつけられているようだ。手も動かない。背後で、縄よりも硬い何かに…

Scene6 23:45〜 3/3

銃とトレインマンに挟まれて、息が苦しい。 胸がどくんどくんと鳴っていた。一体、何が起こっているんだ。私は何に巻き込まれてしまったんだ。ただ普段通りにアルバイトを済ませて、ちょっとマンガを立ち読みしたくて、コンビニに寄っただけなのに。 とにか…

Scene6 23:45〜 2/3

なんて、幸運だ。 暗くてもシルエットでわかる。その女性は警察の制服を着ていた。今度こそ、ようやくゴールだ。きっと。 「助けてください」 私は女性警官へと叫ぶ。同時に駆け出した。 「あの、銃が。トレインマンがいて。すぐそこなんです。助けて」 頭の…

Scene6 23:45〜 1/3

カップルのためのホテル街を抜けると、広い通りに出た。右手の橋の向こうに、交番の明かりがみえる。 本能的に身体が動く。私はそちらへ、駆け出した。なのに、 「待て」 腕を掴まれる。 「手前。見えるか?」 大久保が顎で指す。 「あいつだ」 交番の隣、川…

Scene5 23:30〜 3/3

「緊急事態ですよ。トレインマンが出たんです」 大久保が、電話の向こうに叫んでいる。 「ええ、そうです。銃を持ってて。女の子が狙われたんですよ」 さすがに走り続ける体力もなくなった。 2人、並んで歩く。先ほど転んだ時の痛みが、まだ腰の辺りに残っ…

Scene5 23:30〜 2/3

いくつもの海が、アスファルトの上に散らばっている。 何枚もの画用紙に描かれた、静かで狭い海だ。高い位置に大きな橋がかかっている。 その、あまりに場違いな絵を、私はしばらく呆然と眺める。 「おっさん、急に出てくんじゃねぇよ。びっくりするだろうが…

Scene5 23:30〜 1/3

時間の感覚がなくなっていた。 ずいぶん長く走っているように思う。でも本当はきっと、まだ5分も経っていない。ジーンズでよかった。スカートは走るための形をしていない。 今、自分がどこにいるのかもよくわからなかった。 どこか非現実的なところ。暗く細…

Scene4 23:20〜 3/3

走れ、と声が聞こえた。 同時に強く腕を引かれる。わけもわからず駆け出した。 足に力が入らない。誰かに腕をひっぱられ、倒れないようがむしゃらに足を動かす。 ――黒崎くん。 なぜだか、彼の名前と一緒に、顔を上げる。 だがそこにいたのはもちろん、彼では…

Scene4 23:20〜 2/3

どうして、と繰り返す。 どうして、声を掛けられた時にすぐ、走り出さなかったんだろう? どうして、嫌な予感がしていたのに、まっすぐに歩いて来てしまったんだろう? どうして、再開しているはずもないマンガのために、コンビニに立ち寄ったのだろう? ど…

Scene4 23:20〜 1/3

ベレッタ、じゃない。 ベレット。 あのレトロな車。街じゃまず目にしないけれど、でも確かに存在していて、10年前、彼を遠い所へ連れ去ってしまった。 切り離せない記憶がある。 ベレット、公園、白い犬。でもその毛は茶色く汚れている。 そしてもちろん彼の…

Scene3 23:10〜

「待てよ。もうすぐバイト上がるからさ、送っていくよ」 と大久保が言った。 私はうんざりして首を振る。 「いいよ」 「遠慮するなよ。ほら、家、同じ方向だし」 「知ってるの?」 「え?」 「私の家」 「ああ、いや。ほら、道を歩いてるの、何度か見たから…

Scene2 23:00〜 2/2

カロリーオフを売りにしたレモンスカッシュをぶらさげて、レジに向かう。 レトロな車でやってきた、青年の後ろに並んだ。 青年は目元を隠すように深くキャップ帽を被り、有名な通販の段ボール箱を受け取っている。 「はい。お支払い済みですね。こちらにサイ…

Scene2 23:00〜 1/2

連載再開したよ、と聞いたからそわそわとバイトを済ませてコンビニに直行したけれど、やっぱり載っていなかった。つい呟く。 「だまされた」 それは独り言だったが、私しか客がいないコンビニでは妙に大きく聞こえた。ちょうどBGMの切れ目だったというの…

ホームページ(1日目)

このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。 当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。 この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終え…

Scene32 13:00〜 2/2

ポケットの中で、何かが震えたような気がした。 でもそれは気のせいだ。スマートフォンはもう、バッテリーがないのだから。 きっと、恐怖に身震いしただけだ。 ああ、私は。 ――助けて。 きっとこの街に戻ってきて、ゆっくりとした長い走馬灯をみていたのだ。…

Scene32 13:00〜 1/2

前方に白い高架が見える。 その上を、音を立てて電車が走った。ひとつ右隣の広い通りには丹波口駅がある。 私はもうすぐ電車に乗り込み、ペンダントを捜しに行く。 でも、その前に、深呼吸をしたかった。 あの公園で思い切り息を吸い込めば、全身が生き返る…