Chips - no.43「組織の崩壊」
唐突に起こった組織の壊滅。
これまでの様々な凶悪犯罪者――トレインマンやバーガーマニアなど――が組織によって作り出されたものだということが明るみになり、長い間、新聞の一面を賑わせることになる。
ちなみに、組織の幹部だった男はこう発言している。
「なにが起こったのか、まったくわかりませんでした。まずトレインマンの一人が裏切ったと連絡があって。次に、なんだかへんな、子供じみた必殺技のようなものを叫ぶ声が聞えたと思ったら、組織がなくなっていたんです」
組織関係者の多くが同様の発言を繰り返している。
中には「宙を舞う無数のハートを見た」という者もいる。
あまりに信憑性のない話なので、各新聞社は「内部抗争により崩壊」とだけ報道している。
このことを知った西野原桜は、かつて「彼女」と暮らしていた神戸の町に戻った。
(Chips - no.44「ある出会い2」に続く)
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Chips - no.41「ある出会い1」
4年前のことだ。
なんとなく絵でも描こうと考えた太田信太郎は、海沿いの公園を通り、公衆トイレ脇の細い道を通り抜けて海岸に出た。
その時、右側から強い衝撃を受け、画材をばら撒いてしまった。
どうやらランニングをしていた女性――この辺りで、よく見かける彼女だ――に、ぶつかってしまったようだ。
彼女は太田に頭を下げ、笑った。
左目だけが細くなる彼女の笑みは、魅力的だった。
太田と彼女は一緒に画材を拾い集め、少しだけ話をした。
ありきたりな世間話だった。
太田が新聞の一面で、彼女の死亡記事を読んだのは、その数日後のことだ。
だが太田には、彼女が死んだのだとは信じられなかった。
以降、太田は毎日、決まった時間に海岸で、絵を描いていた。
(Chips - no.44「ある出会い2」に続く)
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ホームページ(最終版)
このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。
当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。
この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終えました。
読者であり、登場人物であり、作者でもあったすべての皆様、誠にありがとうございました。
初めて「3D小説」を読みにこられた方は、下記のリンクにある「えぴくすさんが作ってくださったtogetter」が便利です。
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★Chipsに関して
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Chipsの更新は、5月7日に終了いたしました。
★「その後」のChipsに関して
一部、本文中にリンクが張られていないChipsがあります。
登場人物たちの、「その後」に関して書かれているChipsです。
これら「その後」のChipsに関しては、下記のリンクか、「記事一覧」からお読みください。
Chips - no.47「モップのその後」
http://d.hatena.ne.jp/AyumiOKADA/20130507/p8
Chips - no.49「岡田アユミのその後」
http://d.hatena.ne.jp/AyumiOKADA/20130507/p10
◆Special Thanks!
アシーネ 東戸塚店 様
三省堂書店 札幌店 様
書泉 ブックタワー 様
TSUTAYA AVクラブ近見店 様
本のがんこ堂 唐崎店 様
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当企画に参加してくださった、すべての皆様
以上の方々に、特別な感謝を。
皆様、誠にありがとうございました!
※はてなダイアリー上での「3D小説」の公開は、株式会社はてな様から許可をいただいて行っています。
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Chips - no.29「4年前」
4年前に起こったことがいくつかある。
それらはすべて、「ある女性の死」に起因している。
4年前。
組織が使っていた連続殺人犯が、「ある女性」を殺した。
そのことにより、一人の女性警官が執拗な捜査を始め、組織は危機感を抱いた。
組織は該当の殺人犯を切り捨てる準備をはじめ、同時に「切り捨てやすい」新たな人員を何人か迎え入れた。
そのうちの一人が、黒崎正吾だった。表向きはある広告会社の契約社員として迎え入れられた黒崎正吾は、何も知らないまま――もちろん、多少は胡散臭い話だなという意識はあったが――組織に加入した。
その影響は、彼の息子である黒崎リョウにも及んだ。
黒崎正吾とリョウは、それまで暮らしていたアパートを離れ、組織が用意したマンションに移動した。ただしそのマンションの住所は誰にも教えてはならない、通信販売もレンタルビデオの会員もだめだと、組織から言われていた。
黒崎リョウは、父よりは正確に、組織の危険性を理解していた。
よって、ずっと手紙のやり取りを続けていたある少女にも、連絡先を告げはしなかった。
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